2017.12.09ブログ
ピラティス エルダー (その6)
キャシーとキャシーのスタジオで
今回は エルダーの一人、恩師キャシー・グラントのスタジオでの不思議なエピソードです。
キャシーのスタジオは古い建物の中にある ジョセフ・ピラティスが創ったオリジナルの器具が所せましとおいてある小さなスタジオでした。看板もなく殺風景でしたが 、とても落ち着いて心地良くピラティスを感じる場所でした。
ある日 、セッションの時間にスタジオへ行くと キャシーがいませんでした。かわりに
おそらく前にセッションを受けていた女性(推定65歳)が リフォーマーのうえで1人で
残って練習していました。10分経ってもキャシーが戻らないので、練習をはじめようと
するとその女性が練習を続けながら「キャシーは勝手に器具を使うのをいやがるから」
と言いました。さらに10分しても戻らないので、練習を始めようとすると 再びその
女性が「キャシーは勝手に器具を使うのをいやがるから」と言いました。
そして練習しながら独り言をいうように自分のことを話し始めました。
「あなたは正しい所へ来た。私は事故で体が動けなくなったが ピラティスをして
動けるようになった。ピラティスのおかげで生きてる。何か所もスタジオへ行って
最後にここに行き着いたんだ」。そして自分の練習を終えたようでリフォーマーから
立ち上がると、もう一度 「あなたは正しい所へ来た」と言って さよならも言わず
部屋から出て行ってしまいました。
後ろから見ても体がひどく曲がっていて たどたどしい歩きだったので、粘り強く時間をかけて
ピラティスでリハビリをして自分で歩けるようになったのが分かりました。きっと彼女も
いきなりアジア人が入って来て驚いたと思いますが、その姿と言葉の重みに胸をうたれ 言葉がでませんでした。いまでもよく覚えていますが 山の中で仙人に出会っとような なんとも不思議な思い出です。